病気の見分け方
症状による病気の見分け方
症状のあらわれ方に注意する
同じ症状でも、あらわれ方によって病気が違い、同じ病気でも、その病気の経過によって症状のあらわれ方が違います。
したがって、症状を見る場合、急にあらわれたのか、徐々にあらわれたのか、あるいはその症状が持続的にあるのか、ときどき起こるのかというようなことを、はっきり区別して病気を考えなければなりません。
総合的に判断する
症状といってもいろいろあり、同じ症状をあらわす病気も数多くあります。その反面、一つの病気について、たった一つしか症状がないという病気はほとんどありません。
したがって、症状から病気を見分ける場合には、あらわれた症状のすべてに注意して総合的に判断することが大切で、組み合わせる症状が多ければ考えられる病気もそれだけ限られてきて、正確な判断が下せることになります。
- 同じ病気でも重症か軽症か、良い徴候か悪い徴候か、救急処置を必要とするかどうかなども総合的な判断から下せることになります。
早合点は禁物
ここでことわっておきたいことは、症状はあくまでも症状であり、それが病名であり、病気そのものの姿であると考えてはならないことです。
たとえば、激しい頭痛があれば、すでに髄膜炎を起こし、脳腫瘍を起こしているなどと早合点してはならないことで、その疑いを持って専門医の診断を受けることは正しいのですが、その疑いのためやたらに医師を変えたり、ノイローゼになったとしたら、それは知識の乱用というべきでしょう。
- 同様に、自分の経験や見聞にとらわれて、それに似た症状があった場合、すぐその病気の判断を下すことも非常に危険です。
- また、症状の多くは、健康な人にも生理的なものとしてあらわれることがありますから、最後の判定は専門医にまかせるということを忘れてはなりません。
症状のあらわれ方はさまざま
同じ病気から、時には違った症状が出ることもあり、症状は軽くても重大な病気もたくさんあります。また、症状のあらわれ方に個人差のあることも少なくありません。
ことに、子ども、老人、病気などで衰弱しているような場合は、全身的な症状にじゅうぶん注意しなければないません。
症状は年齢や性別によってかなり特徴がある
病気に、小児に起こりやすい病気、青年期にみられやすい病気、主として老人に起こりやすい病気、女性に多い病気、月経と関係のある病気などがあることで分かるように、症状にもまた年齢や性別によって、かなり特徴があります。
- たとえば若い女性にみられる「やせ」は、精神性、ホルモン異常性のものが多いですが、老人の「やせ」では、まず、がんを考えるべきです。
病気の診断は医師によって
以上述べたように、いろいろな症状に対する正しい知識を持っていれば、病気の早期発見や、正しい処置をとることが、かなりの範囲で可能です。
しかし、このような自覚症状や観察した所見から、病気の診断を下すということには問題があります。診断を下すまでには、なお多くの専門的知識なり、専門的検査が必要なことは言うまでもありません。したがって、病気の診断はあくまでも医師によってはじめてくだされるものといえます。